旅をさせられているので可愛い子

半分以上フィクションのエッセイです。

塹壕

本は読むより買うのが好きである。

 

 

そして本は買うよりも本棚にしまっておく方が好きである。

 

 

私の趣味は積読である。もう一体何を積読しているかもわからぬ。積読の事実を忘れ、同じ本を買ってしまうこともある。

 

 

積読とは無限の可能性だと思ってきた。私は、その積読から、自分の好きなタイミングで書物との旅に出ることができる。よく、「本当に読むんですか?」と聞かれることがあるが、10年かけて読み始めた本もあるので、「おそらく」と答えるしかない。

 

 

 

 

しかし、私はこの本を積読した10年の間に、どれほど変われたのだろう。本を購入した10年前の自分。高校生だった自分は、やっと読み始めた私に何と言うだろうか。

 

 

私は、ただ多くの本を所有しているだけの、何もない27歳でしかないのかもしれない。

 

 

遠い国で戦争が起こっている。なぜそんなことになったのだろうか分からない。私はこの、積読本の陰の塹壕で、ただ死を待っているだけなのかもしれぬ。

 

 

 

 

 

 

*このエッセイは半分以上が創作です。